伊調の“秘蔵っ子” 森川美和がレスリング五輪候補に急浮上
女子レスリングの重量級に新星が現れた。
22日の全日本選手権女子68キロ級で森川美和(20=日体大)が、松雪成葉(20=至学館大)を下し初優勝。前日の準決勝ではリオ五輪金メダルの土性沙羅(25)を倒すなど強豪を相次いで撃破して2月1日(予定)のプレーオフ進出を決めた。
プレーオフで五輪出場を懸けて土性との再戦を控える森川は、「まだ満足したわけではないので、東京五輪目指して強い気持ちで練習していきたい」と、自らに言い聞かせるように話した。
昨年から日体大を練習拠点にしてきた五輪4連覇の伊調馨(35)に師事。平日は通常の午後練習だけでなく、朝練からほぼマンツーマンで指導を受けている。主なスパーリングパートナーは伊調が務めていて、「組み手などの技術的なことは細かいところまで教わっています」と、“伊調コーチ”に感謝しきりだった。
伊調は同じ57キロ級の川井梨紗子が世界選手権(9月=カザフスタン)を制して東京五輪代表に内定したため、5大会連続出場の望みは絶たれた。日体大関係者によれば、五輪5連覇が絶望的になってからの伊調は学生への指導に力を入れ始め、技術的なことに加え、国際大会での自らの経験を惜しみなく伝授しているという。
女子レスリングは依然として、伊調の母校でもある至学館大(OG含む)が最大勢力だ。パワハラ被害を訴えた、かつての恩師である栄和人氏も同大学の監督に復帰した。東京五輪で教え子の森川が金メダルを取れば、至学館の牙城を崩せるのだが……。