楽天三木監督が語ったノムラの教え「野村野球=準備野球」
楽天新監督・三木肇氏を直撃
日本ハム、ヤクルトでコーチを歴任、昨季の二軍監督を経て一軍を率いる三木肇新監督(42)。チームは前任の平石監督が最下位からAクラスに導いたが、1年で退任した。その直後の監督就任でプレッシャーはあるのか。キャンプ中に複数回行った非公開練習の中身、自身が現役時代に薫陶を受けた故・野村克也氏の教えについて、話を聞いた。
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――楽天の選手の印象は。
「真面目で凄く練習します。キャンプ初日、いよいよチームとしてやっていこうという日に、一人一人の選手が自主トレをしっかりやってきてくれたと感じた。2日目の朝に選手たちに『ありがとう』と伝えた。素直にうれしかったですね」
――ファンやメディア、他球団のスコアラーをシャットアウトした非公開練習の意図は?
「見に来てくれた方には申し訳ないのですが、対戦相手に知られたくないこともあるし、グラウンド内で選手、コーチ、スタッフだけでやることには、いろんな意味がある。細かい話はできませんが、一つ一つのプレーの確認と改善に時間を割いている。やるのは選手だから一方通行にならず、選手の意見も吸い上げつつ、チームとして同じ方向に向かっていくための共通認識を持てるように。さらに個々の選手には役割、個性があり、それぞれで味を出してもらうことも大事。その強化の時間にも充てています」
■走塁は走力ではない
――人目がないところだと集中力も高まる。
「いい意味でいろんな話がしやすい、というのもあります。野球は奥深くて難しい。野球経験は関係なく、若い選手しか知らないこともたくさんあるので、僕自身も学ぶ場になっています」
――昨季、チーム48盗塁はリーグワーストタイ。石井GMは走塁強化を求めている。
「走塁に関していろんなことを求めたいですが、結果はコントロールできない部分も多い。漠然とやるのではなく、プロセスの部分で詰めていくところは詰めていきたい。実際の試合では、不思議なことが起きたり、理屈で語れないことも起こる。全部を型にはめる気はないですが、意識と意欲を高く持ってもらいたい。一つ一つのプレーには必ず意味があって、その裏づけが大事だと思っています。走塁は『塁』という字があるように、走りながら塁をどう進めていくかということ。選手には、足が速くて走力があるから走塁ではなく、全員が次の塁へと進む意識、意欲を持つことが大事だという話もしています」
――前任の監督は最下位から3位に浮上したものの、1年で退任した。その後を引き受けるプレッシャーはありますか?
「もちろん僕自身、いろんなことを考えましたが、今言えることは、監督を引き受けた以上は、さまざまなことに立ち向かって、選手が頑張れるように尽くしていくしかない。球団創設16年目を迎え、過去に15年の歴史がある中でいろんな方々の力が集まり、今のチームがつくられたと思う。歴史や伝統を大切にしながら、新しいことにも挑戦していきたい。もちろん、いろんな見解はあると思いますが、現実をしっかりと受け入れて、このチームのためにやるという思いしかありません」
――結果を残せないと批判の声も出てくる。
「覚悟を持ってやっていかないとダメだと思います。何より2020年は選手にとっても大切なシーズン。少し生意気な言い方かもしれませんが、大したことはできないかもしれないけど、自分としては選手を預かる以上、選手、チームのために全力を尽くすだけです」