五輪マラソン代表 来年3月に改めて東京で一発選考レースを
瀬古利彦・日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは、オリンピックの1年延期を受け、新たな代表選考は行わないと表明した。代表権を得るまでの努力と周囲の協力を考慮してのことだが、感染拡大を前に、代表選考をやり直す選択肢も出てきた。
来夏の開催には何の根拠も保証もなく、安倍総理が繰り返す「必ずや」を誰も信じない。決意の問題ではないからだ。選手にとって代表権は貴重だが、“仮定法”に大事な1年の競技人生を捧げる賭けはリスクが大きすぎる。リーダーは「せっかくつかんだ権利」と言うが、もう1年延期と言われたらどうするのか。
代表6人が選考レースに勝利したことは、誰もが認めている。代表が本番で走れなかった例は過去にもあり、1916年のベルリン大会の金栗四三がそうだし、モスクワの瀬古、宗兄弟もそうだった。今回は政治ボイコットと違い、相手は正体不明のウイルス。どうしようもない。
■次も勝つ強い気持ち
前回の東京五輪の代表は試練を乗り越えた選手だった。寺沢徹は雪深い富山の出で「冬も練習するなんて知らなかった」と驚き、君原健二は高校卒業の寸前まで就職先がなく、緊急補強に迫られた八幡製鉄所に“残りもの”として拾われた。