強豪校元監督が有望生をライバル校にねじ込もうとした魂胆
しかし、いいことばかりではない。Aが指揮を執る強豪校にも、付属中学に軟式野球部があり、そこにスーパーエースがいた。Aは当然、高校への内部進学を心待ちにしていたが、別の強豪校に引き抜かれてしまったから大変である。もちろん激怒したものの、引き抜いた強豪校の監督にはこう言われたという。
「決めるのは本人ですから」
まさに因果応報である。
別の強豪校のB監督は、県内の付属中学にいたスーパー中学生の実力を警戒。本来なら引き抜きたいが、県内のライバル校だけにそうもいかない。そのまま内部進学されれば、間違いなく難敵になるため、自身の人脈を駆使して県外の有力校の監督に、いかにいい選手かを吹聴。必死に勧誘を勧めたそうだ。
数年前、強豪校の監督をクビにされたC監督は、密かに返り咲きを狙っている。あろうことか、有望な中学生を自分がいた学校ではなく、県内のライバル校にねじ込もうとしたのだ。後任の教え子は成績が悪ければ解任される。再び自分にお鉢が回ってくるかもしれないからだ。
野球人口の減少により、レベルが落ちる中学生にも何十校が群がり、ドロドロの争奪戦を繰り広げている。
(おわり)