広島の強肩外野手ジム・ライトルの定位置は常にフェンス前
長嶋清幸(元広島・外野手)
巧打の外野手として広島の日本一に貢献。阪神、中日などでコーチを歴任した長嶋氏に印象に残る強肩選手を聞くと、かつての同僚のジム・ライトルを挙げた。
「右翼手の彼は外野フェンス前にあるアンツーカーギリギリの芝が定位置なんです。三塁走者がいても、そんな深いところから内野手がカットできるぐらいの高さで返球し、タッチアップの走者を刺す。サヨナラ負けのピンチでほとんどの外野手はかなり前を守りますが、それでもライトルは普通の選手の定位置ぐらいでした」
長嶋氏は彼に面白い話を聞いたことがあるという。
「米3A時代に一塁を駆け抜けるとき、一塁手と接触して転倒。右肩を脱臼骨折し、手術で数本のボルトが埋め込まれた。以後、強い球を投げられなくなり、打撃一本で行くと決めた。ところが、DHで試合に出ていたら、また一塁手とぶつかって肩から転んだ。その拍子に肩の中のボルトが1本ズレた。実際に右肩を見せてもらったら、ボルトの部分が盛り上がっている。それから強肩に戻ったという、嘘みたいな体験をしたそうです」