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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

阪神藤浪へのジレンマ 与死球0は進化ではなく矮小化では?

公開日: 更新日:

■14勝した15年は与四球11

 藤浪のキャリアハイは15年に記録した14勝7敗、防御率2・40だ。この年は投球回数199を上回る221の三振を奪い、奪三振王のタイトルを獲得したわけだが、その一方で与死球も2年連続リーグワーストとなる11を記録。さらに与四球82と暴投9も同ワースト。藤浪はもともとの暴れ馬スタイルのまま、高卒3年目でリーグ屈指の先発投手になったのだ。

 そのころを思うと、今季の死球を与えない藤浪からは変化こそ感じるものの、それは成長や進化などではなく、一種の矮小化なのではないか、というジレンマに陥る。藤浪に求められているのは6回3失点のQS(クオリティースタート)投手ではなく、相手を完全に沈黙させる大エース像なのだから、こぢんまりした投球は似合わない。

 また、藤浪が今後も死球0をキープできるという保証はなく、おそらくどこかで死球は与えるだろうから、問題はその事後にある。ひとつの死球をきっかけに大崩れしないか、次の登板にまで響かないか。ここを乗り越えられたら、藤浪は自慢の暴れ馬スタイルのまま復活ロードを歩めるはずだ。逆説的かもしれないが、藤浪復活のためには与死球が必要なのだ。

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