今年は中止だが…夏の高校野球大会が世界の王貞治を生んだ
春のセンバツ高校野球に代わる「2020年甲子園高校野球交流試合」が17日に終了した。新型コロナウイルスのため、3月のセンバツ大会は中止。出場するはずだった32校がそれぞれ1試合だけ行った。
8月10日から25日まで開催予定だった夏の高校野球選手権大会も中止になったが、都道府県予選を含めた夏の大会が球児のその後の将来を左右した例は数多くある。プロ野球で歴代最多868本の本塁打を記録した巨人の王貞治氏(現・福岡ソフトバンクホークス会長)もその一人だ。
早実で1年生(1956年)の夏から4大会連続で甲子園に出場。1957年春のセンバツ大会で優勝。夏は寝屋川高戦でノーヒットノーランを達成した。3年春のセンバツにも出場し、夏の甲子園大会に出場した後は、大学に進学するつもりで両親も進学に賛成していた。
ところが、東京都大会の決勝で明治高に延長十一回裏、4点差をひっくり返されてまさかのサヨナラ負け。「野球で何かをやり残した思い」が募り、進学から一転、プロに気持ちが傾いた。
もし、思惑通りに3年の夏も甲子園大会に出場し、進学していれば王氏は慶大に進学していた可能性があった。慶大野球部は1956年の秋季リーグ戦で勝って以来、優勝から遠ざかっていた。投打で活躍した甲子園のスター王貞治氏を何としても欲しかったのだ。野球部OBによると、王入学に熱心だったのが山本英一郎氏(1919~2006年)という。