今年は中止だが…夏の高校野球大会が世界の王貞治を生んだ
慶大野球部のOBで、のちに社会人野球を統括する日本野球連盟会長となる。アマ野球界のドンとして、野球の国際化や五輪の正式種目採用に尽力。1997年には野球殿堂入りしている。
早実からの進学であれば当然、早大が順当だが、山本氏には有力なパイプがあった。王氏の兄、鉄城氏だ。10歳年上の鉄城氏は慶大医学部卒。その兄を通じて慶大進学を働きかけたというのである。複数のプロ球団も獲得合戦に参戦。進学か、プロか。最後は親戚を交えた家族会議が開かれ、「巨人に行きたい」との本人のひと言でプロ入りが決定。1958年10月4日に巨人との正式契約に至った。
王少年は中学時代から成績もよく、勉強もできたそうだ。慶大に進学していたら、あるいは野球とは別の道に進み、「世界のホームラン王」も生まれなかったかもしれない。
▽富岡二郎 スポーツジャーナリスト。1949年生まれ。東京都出身。雑誌記者を経て新聞社でスポーツ、特にプロ野球を担当。