坂本は三振だが…元巨人岩本が4打席連続本塁打を逃したワケ

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 試合は七回を終えて14対6と巨人の一方的なリード。岩本を敬遠しなければならない展開ではない。だが、これには伏線があった。この年の5月6日の大洋対広島戦のダブルヘッダーで、青田は第1試合の八回裏に2ランを放つと、第2試合の第1打席から3連続ホームラン。4打席連続本塁打の日本記録を樹立していたのだ。

「その日、私は打撃が絶好調で、4打席目もホームランが打てる気がしていました。青田さんほどの打者ですから、目の前で自分の作った記録に並ばれるのでは、と感じたのかも知れません」

 大洋の迫畑正巳監督は権限を無視されたのに何も言わず、ベンチからまったく動かなかった。結局、青田に言われるまま、マウンドの豊田実投手は岩本を敬遠した。

 翌日の試合、岩本は第1打席で凡退。四球をはさんでの4打席連続本塁打も達成できなかった。青田は首位打者、本塁打王、打点王を獲得するなどチームの主力選手。迫畑監督は就任1年目。投手の豊田は新人。青田の要求に従わざるを得なかったようだ。

 64年前に記録達成を阻まれた大先輩の事情を知れば、少しは坂本の慰めになるだろうか。

▽富岡二郎 スポーツジャーナリスト。1949年生まれ。東京都出身。雑誌記者を経て新聞社でスポーツ、特にプロ野球を担当。

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