12球団損失1400億円で契約に影響…今オフ嵐が吹き荒れる
出来高払いがパー…
プロ野球には「統一契約書」の問題がある。コロナなど不測の事態で年俸を減額できる条文はなく、契約書の変更には選手会との労使交渉が必要となる。
今季の年俸は全額保証されることになったが、球団の収入減の余波はすでに、今季の出来高払いに及んでいる。出来高の達成条件を143試合換算した球団としなかった球団があり、試合数が減ったことで達成条件を満たせず、出来高がパーになる選手もいる。前出の宮本氏が言う。
「今年の契約更改が始まるまでに、経営側と選手会の間で来季の契約条項について、ある程度の『幅』を決めるはずです。NPBと12球団で契約書の見直しがすでに始まっていると聞いていますが、『年俸は試合数に応じて換算する』といった文言が条文に加わる可能性もある。さらに、球団ごとに収入が違うため、今年の出来高の扱いと同様、査定の基準などは各球団ごとに対処することになるでしょう。経営が苦しい球団は来年の契約はおろか、再来年の2022年の契約に関しても、何らかの制約を設けようとするところも出てくるかもしれません」
このままだと、選手がコロナ禍の影響をモロに受けるのは必至。今年のオーナー会議では、楽天の三木谷オーナーが「試合数に応じて年俸をカットすべき」と主張し、これに賛同する球団が複数あったといわれる。選手は球団からアレコレ理由をつけられ、減俸を強いられかねないのだ。
■「年俸は収益連動で決まらない」
選手会の森事務局長は、「今年の査定に関して明確にハッキリとしたものは、まだどの球団からも出ていません。今後、事務折衝を行っていくことになります」と、こう続ける。
「今年が大変な状況なのは誰が見てもわかること。球団が収益を上げられていないのは理解しています。ただ、契約に関して、球団の収益連動で年俸が決まるというものはない。もし、今季の査定方法が変わるというなら、これまで以上に話し合いを重ね、お互いが納得して契約できるようにすべきだと考えています。ただ、今年苦しいから、と一方的に言われても、過去何年分の収支状況など、球団の経営状態を示すものが出てこないことには、選手も納得できません」
これから始まる“労使交渉”で果たして妥協点を見いだすことができるのか。場合によっては、大量の保留者が出るなど、大荒れのオフになる。