ネガティブで粘り強さがなかった石川歩が変わったきっかけ
17年はまさかの3勝11敗。この年の3月に行われたWBCで活躍し、「いい経験をしたから、一皮むけるかな」と思っていたんですが、逆にそこで燃え尽きてしまったようです。開幕前にシーズン以上の熱量をドン! と消費したことで、シーズンへのモチベーションが逆に下がってしまったに違いありません。
■頼れる先輩の移籍で…
そんな石川が変わったのは、涌井秀章の楽天移籍がきっかけでしょう。涌井は今どき珍しい、昭和の野球選手タイプ。練習量は人一倍多く、言葉にこそ出しませんが、「自分の背中を後輩が見ている」という自覚を持った投手です。そんな頼れる先輩が抜けたことで、32歳の石川にベテランらしい自覚が芽生えたのかなと思います。
実は僕と石川は家が近く、たまに食事も一緒に行っていました。ところが、新型コロナの影響でそれもできず、評論家として球場で取材するのも難しい。だから、石川の本心は聞けてないんですよね。メジャー挑戦のような野望を前面に出し、最近はチーム全体を見据えた発言も増えています。これならもう、石川にやきもきさせられることはないでしょう。 =つづく