データ重視 21人以上の打者と対戦させないドジャース理論
2チームのようなデータ解析を駆使した野球がいま米球界を席巻しているがゆえに、経験や情による采配にも魅力を感じてしまう。
■青と茶 どちらを信用すればいいのか
ア・リーグのチャンピオンシップシリーズ、アストロズ対レイズの第4戦。アストロズ2点リードの六回1死一、二塁の守り。マウンド上にはエースのグレインキー。打席に絶好調のアロザレーナを迎えた場面で、ダスティー・ベーカー監督がマウンドに向かった。このシーンを同監督は試合後、こう振り返った。
「(交代させるか迷いながら)マウンドに行った時、キャッチャーからグレインキーは大丈夫だから残してくれと言われ、そのままマウンドに残すことにした。グレインキー本人とは言葉を交わさなかったが、彼の目を見て彼を信じることにしたんだ。以前(ナショナルズの監督時に当時のエースだった)シャーザーを同じように交代させようとマウンドに行ったことがある。その時も彼の目を見たんだ。彼は虹彩異色症という病気で(左右の)瞳の色が青色と茶色に分かれている。どっちの色の瞳を信用すればいいんだと尋ねたら、『ブルーの方だ』と。なので分かったと言ってマウンドに残した。すると後続をしっかり打ち取ってくれた。僕は古い人間なので、そんな時、データや確率などではなく自分が正しいと思うことをする。それは彼らを信頼することだ」
続投したグレインキーはアロザレーナを三振に打ち取り、無失点でこのピンチを脱出、結果的に勝利投手となった。
(米紙コラムニスト=ビリー・デービス)