23年ラグビーW杯 日本“死のプール”で8強超えに早くも暗雲
強豪ひしめくD組は「死のプール」
イングランドは、11月に行われた国際大会でフランスとの延長戦にもつれ込む死闘を制して優勝したばかり。大会では4試合を戦い、失ったトライはわずかに3つ。それも、1試合で複数のトライを奪われたことがなく、堅守を誇る。
しかも、HCは、かつて日本を率いて南アフリカから歴史的な勝利を挙げたエディー・ジョーンズだ。日本の強みも弱みも熟知する知将は、入念な日本対策を施して大会に臨むだろう。
アルゼンチンも、ニュージーランド、オーストラリアと2試合ずつ戦い、あのオールブラックスをノートライに抑えて25―15という大金星を挙げたばかり。しかも、オーストラリアとは、2戦していずれも引き分けで、そのうちの1試合もまた相手をノートライに抑えている。強力なフィジカルに裏づけられた高い防御力が武器だ。
残る2チームも、オセアニア地区予選1位通過チーム(トンガとサモアの勝者が有力)と、アメリカ地区2位チーム(アメリカ、ウルグアイ、カナダの3チームのうちの2位チーム)が入り、前回大会のロシアのような、ランキング下位の勝利が見込めそうな相手はいない。これが「死のプール」たるゆえんだ。
日本代表のジェイミー・ジョセフHCは、日本ラグビー協会を通じて「素晴らしい強豪チームと対戦できることを大変光栄に思うと同時に、興奮しております」とコメントしたが、目標とする「前回以上」、つまり8強以上の成績を残すには、これらの難敵を倒さなければならない。
前回大会では、「ハードワーク」を合言葉に厳しい強化を積み、母国開催の地の利も得て史上初の8強入りを果たしたが、果たしてフランスの地で、それ以上の成績を残せるか。
日本の実力はまず、来年6月26日にスコットランドで行われる、イングランドの主力選手を含むブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦で試される。
(スポーツライター・永田洋光)