大谷は球団提示に近い金額で幕引きを図るべき意外な理由
大谷が今いるのは2つ目の「年俸調停期間」だ。この期間に入ると、いい働きをしている者は500万~1000万ドルに年俸が跳ね上がる。大谷が3年目も2年目と同程度の働きをしていたら、600万ドルくらいの年俸になっていただろう。
■ボロボロに叩かれ自信喪失
ところが昨季は打率が1割台で、チャンスにも弱かったため金額換算評価はわずか80万ドル(8400万円)だった。エンゼルスはこれを踏まえて現在、大谷側に今季年俸として250万ドル(2・6億円)を提示している。昨年の低レベルな働きと、コロナ禍で球団の収入が激減していることを考えれば低過ぎる金額ではない。
大谷側の希望額は330万ドル(3・5億円)なので大きな開きはない。おそらく年俸調停委員会が開始される2月1日までに中間の290万ドルで決着がつくように思うが、球団側が歩み寄りの姿勢を見せない場合は、大谷側が球団側の提示額に近い金額で幕引きを図るべきだ。
なぜなら年俸調停の審理は労働問題専門の弁護士3人が裁判官を務める形で行われるため、球団側は検事のように自らの主張を通そうと、選手をこき下ろす材料を列挙してくる。米国人の選手はこれに耐性があるが、アジア人の選手にはない。以前、ヤンキースで活躍した台湾出身の王建民投手は年俸調停の場で球団から「勝ち星が多いといっても、その多くは、彼の好投ではなく、味方の大量得点によるもの」などとボロボロに叩かれ自信を喪失、投手生命を縮める結果になった。