著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大リーグ機構の共和党議員への「政治献金停止」は見せかけ

公開日: 更新日:

 ゼネラル・エレクトリック、アマゾン、マイクロソフト、グーグル、フェイスブック、コカ・コーラ、ナイキ――。

 米国を代表する多国籍企業は、連邦上下両院の共和党議員への政治献金を相次いで見合わせている。

 1月6日、現職大統領ドナルド・トランプの支持者が議事堂内に侵入して警察隊と衝突し、死者が出る騒ぎに発展したことなどが主な理由だ。

■トランプや共和党議員への非難

 民主主義の価値を体現すると思われた米国で起きた出来事の衝撃は大きく、米国内では侵入を積極的に止めなかったトランプや、選挙の結果を認めなかった共和党議員に対する非難の声が起きている。こうした状況から、各社は政治資金の提供を取りやめたのである。この中には、大リーグ機構も含まれている。

 連邦選挙委員会に登録し、個人から広く活動資金を募る政治活動委員会(PAC)は、企業が献金の原資を集めるための重要な組織だ。2019年から20年にかけて企業が設立したPACの資金の総額は約5億3000万ドルとされ、政治資金全体の5%を占める。大リーグ機構の場合は16年以降、PACを通じて約67万ドルを共和・民主両党の上下両院議員候補に献金してきた。全ての企業ではないとしても、集金力のある大企業が政治献金を停止すれば、政治家たちの活動資金が枯渇しかねない。しかも、フェイスブックなどは民主党を含むすべての献金を停止している。

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