アリゾナ州は数百億円の経済効果より医療崩壊回避を優先
同州では開始から1カ月後に中止となった2020年で約3億6000万ドル、18年は約6億4000万ドルの経済効果があったと推定される。従って、自治体側が無観客での実施ではなく延期を要求したのは、経済面から考えれば大きな損失だ。
無観客となれば州の内外からスプリングトレーニングを見学する人々の流れは途絶え、宿泊施設や飲食店の利用者も減少する。開催延期の場合は「スプリングトレーニング特需」そのものがなくなる可能性があり、地域経済が受ける打撃はより大きくなる。
それでも、各自治体が機構に延期を求める書簡を送付したのは、アリゾナ州を取り巻く状況の厳しさのためだ。
米国疾病対策センターによれば、1月24日の時点でアリゾナ州の感染者数は10万人当たり95・1人と全米最多となっており、短期間で収束する見通しは立っていない。こうした状況では、たとえ各球団が大リーグの40人枠に登録されている選手のみを参加させたとしても、それぞれの指導者や関係者を含めれば、少なくとも1000人近くが州外からアリゾナにやって来ることになる。