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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

規則をくぐり抜けることに悩むよりマラソンの精神をつなげ

公開日: 更新日:

 世界陸連公認の女子マラソンの記録にはWoとMxの2種類ある。前者は女子だけ、後者は男女混合レース。海外マラソンはすべて混合で東京マラソンもそれに倣っているが、その場合、男子選手は女子のペースメーカーになり得る。マラソンは大会によってコースが異なり、女子の普及は未熟なため野放しだったが、実質的に日本のテレビ局がベルリンで複数の男性ラビットを使って記録を連発。それを受けて世界陸連は2011年「混合マラソンの同時スタートの記録は参考記録」と規定した。さまざまな論議の末、エリート大会は男女のスタート時間を分けたのだ。

 陸連は緊急措置として今回を混合マラソンに改め、それを合理化すべくペースメーカーの記録も公認すると発表した。混合なら出たかった男性は大勢いたし、そもそも公道を管理する大阪府警が認めるはずがない。

■いったん止まってからゴールの川内は順位なしの公認記録

 先頭を引っ張り続けた川内は、競技場前でいったん止まって一山を送り出してからゴールしている。2位相当の2時間21分58秒で順位はない。順位なしの公認記録では単なる記録会である。川内はプロだから仕事を受けたのだろうが、レース中のペースメーカーの選手への助言は完全な規則違反だ。その時は選手としてということか?

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