データを生かせず…巨人はソフトBに情報戦でも負けていた
①直球狙いで打ちにきたが、体勢を崩しながら途中でバットを止めた。
②もともと変化球狙いのため、体勢を崩さずに難なく見逃した。
■狙い球を読まれた丸
この時の丸は明らかに②。変化球を狙っていることを見抜けたこともあり、直球勝負に切り替えやすかったのだろう。甲斐の洞察力は鋭い。
巨人打線は迷いがあるから思い切りがなかった。戦い方を見る限り、データを活用しきれていないように見えた。
逆にソフトバンクは、ある程度そぎ落とした中で「ここにくる確率が高い」と信じて待っている。迷いがないから、思い切ってスイングができる。巨人投手陣は蛇ににらまれたカエルのように、投げるところがなくなってしまった。ソフトバンクは使えるデータの生かし方を熟知しており、「確率」という武器を手に思い切りのいいプレーをしていた。
日本シリーズ後、「巨人は力がなかった」という声をよく聞いたが、選手個々の差の前に、情報部門の差を感じずにはいられなかった。データを収集するスコアラーとコーチ陣が「個別性」という部分で、選手に落とし込めなかったのではないか。私がコーチを務めていた際も、膨大なデータをどんと出され、どれが使え、どれが実戦的でない情報か、仕分けるのが大変だった。迷った状態で戦わざるを得なかった選手は気の毒である。どんな情報を与えて選手をグラウンドへ送り出したのか。
監督には契約年数がある。日本一になれなかった時は、コーチが責任を取るべきだと考えている。一軍バッテリーコーチだった2013年、リーグ優勝を果たしたものの、日本シリーズで楽天に3勝4敗で敗れた時もそうだった。