14年は二軍で育成のはずが 「8月から一軍に」と緊急招集が
監督には契約年数がある。日本一になれなかったときは、コーチが責任を取るべきというのが持論だ。巨人の一軍バッテリーコーチだった2013年は、リーグ連覇を果たしたものの、日本シリーズは楽天に3勝4敗で敗れた。先月、8年ぶりに電撃復帰した田中将大が、米ヤンキースに移籍する前の最後の年である。
敗戦の夜、宿舎の食事会場で原辰徳監督に「来年どうしたい?」と聞かれ、驚くと同時に、ピンとくるものがあった。
「もうジャイアンツに必要ないということでしたら、クビで仕方ないと思います」
「そっか。分かった」
中日コーチ時代の06年もリーグ優勝をしたにもかかわらず、日本一になれなかったことで、「契約は更新しない」と言われた。
またか――。それでも原監督に「残してください」と頼むのは筋違いだと思った。リーグ連覇とはいえ、日本一にはなれなかった。誰かが責任を取らないといけない。そう自分に言い聞かせた。すると数日後、原監督にこう言われ、胸をなでおろした。