澤村レ軍入団合意報道 恩師は“幻のヤンキース入り”明かす
ロッテから海外フリーエージェント権を行使した澤村拓一(32)のレッドソックス入りが決まったと、10日のスポーツ報知が報じた。3日に渡米していた澤村は現地で代理人のジョン・ボッグス氏と合流し、獲得に興味を示す6球団からのオファーを精査。移籍先を東海岸の名門・レッドソックスに絞り、交渉は大詰めを迎えていた。
■極秘渡米でメジャー生観戦
「正式にメジャーへの移籍が決まり、私にとっては“10年越しの朗報”。大学時代、『日本のプロ野球を経ずに直接、メジャーに行け!』と本人を米国に向かわせたこともあるんです。私は本気でヤンキースに入れるつもりでしたから」
こう言うのは、澤村の大学時代の恩師である中央大学野球部元監督の高橋善正氏(76)。当時、日本の全12球団がドラフト1位候補に挙げる中、教え子である澤村のメジャー入りを本気で模索したという。
「澤村が中大4年の時だから、2010年のことです。前年に社会人の新日本石油から田沢純一投手が海を渡ったとはいえ、ドラフト上位クラスの大学生が、直接、米球界入りした例はまだなかった。澤村なら、閉塞感漂う日本のプロ野球界に風穴をあけ、そのパイオニアになれると。自分のウイニングショットで真っ向勝負するメジャーの野球の方が、澤村の投球スタイルに合っているという思いもあった」
■やっぱり日本がいいです
そう振り返る高橋氏のもとには実際、旧知の米球界関係者から「澤村君を預けて欲しい」という話があった。
そこで、東都大学野球の春のリーグ戦終了後、澤村が左わき腹を痛めて練習を制限せざるを得なかったこともあり、「アメリカに行って、メジャーの野球を生で見てこい」と“極秘渡米”を計画。
メジャー球団とのパイプを持つ日本人の仲介者に現地でのアテンド役を頼み、「いいんですか!?」とメジャー生観戦に目を輝かせる澤村を飛行機に乗せた。
「本人もメジャーに興味があった。渡米して、実際に向こうで試合を見ることで、メジャー挑戦を現実的に意識してくれればと期待したんですけどね。ですが、5日間の滞在を終えて帰国すると、『楽しかった』と言いながら、『やっぱり日本の方がいいです』『プロ野球でプレーします』と言ってきた。前例がなかったし、いざ行くとなれば言葉の問題、生活環境の問題も考えないといけない。尻込みしちゃったんでしょうね。本人が決断さえすれば、間違いなくメジャーに行けた。その道筋は用意されていたのです。澤村の活躍を喜ぶ古巣の巨人関係者に『オレは本当は巨人じゃなくヤンキースに入れたかった』と言ったら苦笑いしてましたね」