14年は二軍で育成のはずが 「8月から一軍に」と緊急招集が
「来年は二軍で育成をやって欲しいんだ」
「え? 分かりました」
■「いろんな事情があるんだよ」
良かった。クビではなかった。しかし、気持ちを切り替えて二軍を担当していた14年の7月上旬、原沢敦球団代表兼GMから電話があり、また驚いた。
「優勝するために8月1日付で一軍に上がってくれ」
「一軍はこれから大事な優勝争いをする時期。バッテリーコーチは代えない方がいいんじゃないでしょうか? 一体どうしたんですか? 育成はどうするんですか?」
「いろんな事情があるんだよ。とにかく頼む。原監督の要望なんだよ」
理由は教えてくれなかった。
選手が二軍から一軍に呼ばれれば、喜んで駆け付ける。だが、コーチの場合、そう単純ではない。準備不足になるからだ。コーチはオフ期間、春のキャンプから周到に準備をする。12年から2年間、一軍のコーチだった頃は、2月までは自軍の選手を把握する期間に充て、3月から相手チームの分析を開始することにしていた。とはいえ、原監督に呼ばれているのだ。ツベコベ言わずに馳せ参じるしかない。