武藤事務総長は密室での検討委なぜ放置?非公開に憤りの声
■体質を変える好機をスポイルしているのは事務総長
今回のドタバタ劇をめぐっては、女性蔑視発言の森会長に猛省を促すどころか、辞任を慰留したなどと報じられた武藤事務総長の責任も大きい。組織委の旧態依然とした体質を変える絶好の機会なのに事務総長として存在感を発揮しているとは思えないからだ。
小泉内閣で財務相を務めた「塩爺」こと故・塩川正十郎氏は、財務省事務次官だった武藤事務総長について、「どんな難しい問題でも間違えるということがない人」と評していたが、今回の騒動では間違えてばかり、と指摘せざるを得ない。
2014年1月の共同通信の報道によると、武藤事務総長は財務官僚時代に教育・スポーツ予算を担当。名古屋市の五輪誘致失敗を見て、各国政府やスポーツ団体の思惑が交錯する五輪の難しさを垣間見たと言い、「若い世代の意欲に応える東京五輪にしたい」と語ったというが、この自分の言葉を今こそ、噛み締めるべきだろう。
1964年の東京五輪組織委で事務総長を務め、政治家や官僚に対しても真正面から意見具申した熱血漢として知られる故・田畑政治氏は著書「スポーツと共に半世紀」で自身をこう振り返っていた。
<オリンピックについて、誰よりも苦労し、知識、経験、創意工夫でも、また、情熱、意欲でも何人に劣らぬと確信している>
男性であれ、女性であれ、新会長や事務総長は、こういう気概を持った人物に託したい。