元プロレスラー谷津嘉章さん 東京五輪聖火ランナーの決意
「トレーニングは毎日欠かしていない」
さて、やはり東京五輪の聖火ランナーの件から聞かねばならない。日本オリンピック委員会から打診されているのか?
「1月末に電話があってね。『参加の意思は変わらない』と伝えたよ。ただ、どこの区間をどんなふうに走るのかって、具体的な話にはなってないんだ」
昨年は3月29日、栃木県足利市内をタレントの勝俣州和らと走る予定だった。日本が不参加だったモスクワ五輪のアマレス日本代表時に足利工大(現・足利大)に所属していたからだ。ところが……。
「延期決定が24日の夜。足利市長に挨拶に行った当日だから、ホント、参っちゃったよ。でも、その少し前から多分延期だろうなって思ってたから、ショックはあったけど『やっぱり……』って感じだった」
感染者が減ってきたとはいえ、依然として新型コロナウイルスは猛威を振るっている。
「五輪を目指してきたアスリートたちのことを思うと、ぜひ開催して欲しい。俺もいつ決まってもいいように、体幹を鍛えるトレーニングは毎日欠かしていないしね。でも開催が現実的かどうかとなると、どうとも言えないなあ。ランニング用の義足をリースで取り寄せなきゃならないのと、サポートチームをつくる必要があるから、一日でも早く白黒つけてもらいたいんだけどね」
昨年のチーム谷津は7人。「そこまででなくても最低3人は必要」だそうだ。
「もし中止になったら? うーん……。『実際に走れなくても切符はもらった』『俺は五輪に縁がない男だ』って割り切るしかないよ。アハハハ」
意外にも料理は自炊派なんだとか。
「煮物でも天ぷらでもお手のもの。今年の正月はおせち料理を作ったんだ。この前焼いたアップルパイもけっこう評判が良かった。手先を動かして工夫するからボケ防止にピッタリだよ。アハハハハ」
また、昨年3月からユーチューブで「オリャ!チャンネル 谷津嘉章・最終章『義足の青春』」をスタート。主にプロレスラー時代の話題、糖尿病の予防についてのコンテンツを配信している。
「登録者数が約1万2000人。まだまだだけど、おかげさまで少しずつアクセスが増えてきた。できる範囲でコメント返ししてるから一回見にきてよ」
夢はもう一度リングに上がり、プロレスの試合をすること。
「諦めたら、それで終わり。そう簡単にギブアップはしないよ。オリャ!」
常に前向き。ぜひ勇姿を見たいものだ。
(取材・文=高鍬真之)