虎エース西勇に不穏情報…緊急離脱と後輩説教でチーム困惑
「手応えはあります」
先日、キャンプ地を訪れた阪神の藤原オーナーは、報道陣に対し、笑顔しきりだったという。
当然といえば当然だろう。3年契約最終年を迎える矢野阪神の戦力は充実している。昨秋ドラフトで4球団競合の末に獲得したドラフト1位の佐藤輝(21=近大)が実戦で好結果を残し、近年は不振に悩んでいた藤浪も復調気配。さらに、コロナ余波で各球団の外国人選手の入国が制限される中、サンズ、スアレスら昨年から在籍する助っ人選手が揃ってキャンプインした。各球団が助っ人不在に頭を悩ませる中、そのマイナスを最小限に食い止めている。
ライバル球団の関係者は、「阪神はもともと、投打の戦力が整っていますけど、現時点では巨人をもしのぐかもしれない。優勝に最も近い」と、警戒心を強めている。
■腰痛で独自調整
しかし、ここにきて、チームに不安要素が浮上してきた。
キャンプ中盤に昨季5勝、防御率2.49をマークした4年目左腕の高橋(25)が右脇腹の筋挫傷で離脱。開幕ローテ入りに赤信号がともると、23日には開幕投手の大本命だったエースの西勇(30)がぜんそくの検査のために緊急帰阪。今後の登板が白紙となり、こちらも開幕に間に合わない可能性が出てきたのだ。阪神OBが言う。
「西勇はキャンプ中に腰を痛めたそうです。6日にブルペン入りしてから、10日までの4日間、投球練習を行わなかった。11日から4日連続でブルペン入りし、300球以上を投げ込んだが、18日に30球を投げた後、再び独自調整になっていた。22日に投球練習を行い、ようやくギアを上げていくのかと思いきや、今度はせきが止まらないとの理由で離脱ですから。腰の状態も含め、気になるところです」
藤川球児を引き合いに
さらに別の阪神OBはこのエースに関して、「チームの空中分解を招く火種になっています」と、声を潜めてこう言う。
「西勇は先日、室内練習場での練習中にドラフト2位の伊藤将(24=JR東日本)と同3位の佐藤蓮(22=上武大)に10分間ほど懇々と説教をした。練習器具の扱い方や、ロッカー内に落ちたゴミを拾わない、といった行動を注意したのです。ただそれは報道陣も見ている『公の場』で行われ、新人2人は正座するような感じで西勇の話を聞いていた。西勇はその後、報道陣に対し、昨季限りで引退した藤川球児(現球団スペシャルアシスタント=SA)を引き合いに、『去年だったら球児さんとか、こういうことを言ってくれてたなと思い出した』などと言っていましたが、新人2人をフォローするような発言は見受けられなかった。そもそも藤川は公の場で後輩を懇々と説教しないし、注意した後のフォローも欠かさない。西勇のスタンドプレーに選手、関係者は困惑しているだけでなく、その言動をちゃかした同僚選手との間でもひと悶着あったそうです」
ただでさえ西勇は昨年、政府の緊急事態宣言発令中の5月に一般女性と“不倫密会”したことが発覚。チーム内外で不興を買った。6月に開幕した公式戦ではチーム最多の11勝を挙げて“汚名返上”したものの、チームで浮いた存在になりつつあるというわけだ。
■矢野監督の手腕に不安
左右エースが離脱したことで先発ローテの練り直しを迫られるだけでなく、チーム内に不穏な空気すら流れる中、ある放送関係者は、「いよいよ不安が募ります」と、こう続ける。
「先発として前ロッテのチェンが加入、左腕の岩貞にもそれなりの実績があるものの、チームの軸になれるかどうかといえば話は別です。今の阪神は首脳陣が頼りないですからね。過去2年間の矢野監督の選手起用や采配を見ても、2位に終わった昨季は開幕から2勝10敗と低迷し、優勝した巨人に8勝16敗とコテンパンにやられた。継投失敗や拙攻が目立つ上に、『選手任せ』の采配をする傾向が強く、チームとしての戦略に乏しい。長年の課題となっている守備力の強化も現首脳陣は一向に改善できず、巨人OBで読売新聞スポーツアドバイザーの川相昌弘氏を臨時コーチに招聘。基礎からやり直す始末です」
矢野監督の手綱さばきに不安がある以上、優勝するためには戦力でライバル球団を圧倒するしかない、と言っても過言ではない。今季初めて迎えるピンチを乗り切ることができるのか……。