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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

阪神藤浪に二軍調整はもう不要…ドラ2伊藤の活躍が追い風

公開日: 更新日:

 だけど、なんとなく寂しい感じがするのはやっぱり藤浪晋太郎が二軍調整中だからだ。先発が手薄なチームにしたら贅沢な話かもしれないが、本来ならフレッシュで生きのいいはずのルーキー左腕が老獪な技巧派で、他の先輩諸氏も安定感が売りの同タイプばかり。だからこそ、ローテに一人は藤浪のような「今日先発する」と聞いただけでワクワクする、良くも悪くもドキドキする、そんな暴れ馬のパワーピッチャーがほしいと思ってしまう。打者のロマン枠が佐藤輝明なら、投手のロマン枠は藤浪なのだ。

 正直、藤浪みたいなピッチャーは二軍でいくら好投しても「よし、これで大丈夫だ」と太鼓判を押せるようなタイプではなく、だからといって昨年のようにリリーフで活躍したとしてもなんとなく物足りなさが残る。藤浪というのはその底知れないポテンシャルにこそ最大の魅力があるわけだから、一軍のマウンドでずっと見ていたい。

 仮にも今季ここまで5試合に先発し、2勝1敗、防御率2.60の成績を残しているのだ。投球回数以上の四死球を出したのも1試合だけで、あとの4試合は藤浪の通常運転モードといった程度の荒れ球だった。たとえば先発ローテの6番手だったら、こんな投手が一人いてもいいと思う。やはり藤浪の登板時には、西にも青柳にも秋山にもルーキーの伊藤にも感じられない、得体の知れないワクワク感がある。

 また、交流戦で対戦するパ・リーグの強打者たち、たとえばソフトバンク柳田悠岐みたいな怪物を阪神投手陣が抑え込めるかと考えたら、その可能性をもっとも感じるのは西ではなく藤浪だったりする。こんなおもしろいピッチャーはそういない。二軍調整なんてもういいんじゃないか。

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