阪神岩田は新生タイガースに唯一残る前時代のノスタルジー
阪神のベテラン・岩田稔が15日のウエスタン・リーグ広島戦で今季初先発を務めた。結果は3回2安打無失点の好投。低めの変化球を打たせて内野ゴロに仕留める老獪な投球は健在だった。
それにしても、現在セ・リーグ首位を走る阪神において、二軍戦に先発する岩田の姿にはどこかノスタルジックな感傷があった。なにしろ一軍の主力選手のほとんどは金本知憲監督時代以降に入団した生え抜きの20代。近年のドラフトの成功と、それによる若返りこそがチーム強化の大きな要因である中で、プロ16年目、37歳の左腕がマウンドに立ったのだ。
若いころの岩田といえば、2000年代後期から10年代中期にかけて先発ローテの一角を担った技巧派サウスポーだった。井川慶、能見篤史、メッセンジャーといった時のエースの陰に隠れて決して目立つタイプではなかったが、防御率は常に2点台~3点台という妙な安定感が売りだった。
特にナゴヤドームでの中日戦には強く、当時の中日打線は岩田の微動するボールに手を焼いてゴロの山を築いていた印象がある。それでも勝ち運がないものだから、投手戦の末に「0―1」とか「1―2」とかで敗戦投手になることが多かったのも思い出深い。09年のWBC日本代表に選ばれたのがハイライトか。