通算363盗塁でタイトル4回 走塁技術と投手の癖の見つけ方
■阿波野秀幸のプレートの立ち位置
プレートの立ち位置にもクセが出る。近鉄のエースだった阿波野秀幸がそうだった。能力が高いだけでなく、牽制もうまかった。後輩選手とビデオ映像を擦り切れるほどチェックしていると、「つま先の動きが気になる」と言う。確かに、一塁へ牽制するときだけ、軸足の小指部分がわずかにプレート板にかかり、つま先の向きが違うことが分かった。牽制しやすくするため、無意識のうちに左肩が開き、足の位置が動くのだろう。これを利用して結構な数を走らせてもらった記憶がある。
ただ、クセを徹底的に利用すると相手に気づかれて修正されたり、逆手に取られかねない。気づかれない程度にとどめておくことが肝要だが、クセが修正された後に別のクセを探すことも醍醐味がある。
今は昔よりもデータ量が豊富だが、相手投手のクセを把握するにはベンチ全員で一球一球に集中し、観察しなければならない。そういうところがチーム全体で戦う姿勢にもつながっていくはずだ。(おわり)