巨人・山口俊の“出戻りぶっつけ登板”が暗示するエース菅野の「深刻度」
米ジャイアンツ傘下3Aサクラメントから巨人に復帰した山口俊(33)が、23日のDeNA戦で初登板初勝利を挙げた。
初回、2番・柴田にいきなり先制ソロを浴びたものの、その後は立ち直った。2点リードの六回に2死満塁としたところで大江にマウンドを譲ったが、613日ぶりの日本のマウンドで6回途中5安打1失点。101球を投げ、「途中入団なので結果しかないと思っていた」と汗を拭った。
自主隔離期間を終えた20日にジャイアンツ球場で行われた二軍練習に合流したばかり。わずか3日後のぶっつけ本番だった。
舞台は富山。前回の巨人在籍時は地方球場で6試合に登板し、5勝1敗、防御率1.29だった。地方のマウンドを得意としていたのはある。投手陣の駒が足りないのもあるだろう。二軍戦を経なかったのは、山口本人が決めたというが、原監督もそれを容認している。これは16日に早くも今季3度目の登録抹消となった菅野智之(31)の状態と関係しているともっぱらだ。
抹消から1週間でやっと立ち投げ
菅野は1カ月後に迫る東京五輪の侍ジャパンメンバーに選出されている。抹消からちょうど1週間、これまでは痛めた右肘の状態を確認しながら、ネットスローやキャッチボールなどで慎重に調整を進めてきた。この日、ようやくブルペンで捕手を立たせて投げたが、球数はわずか14球である。
巨人OBで元投手コーチの高橋善正氏(評論家)がこう言った。
「抹消されてから1週間でやっと捕手を立たせてブルペン投球をしたということは、今回の抹消は再調整というより、痛めた右肘のリハビリの意味合いが強い。一軍昇格までまだ時間がかかりそうですね。米国の3Aでも成績が良くなかった(0勝3敗、防御率6.17)山口の状態にしても、未知数なのは百も承知で、ぶっつけ本番させたのは、菅野が当面は万全の状態で復帰できないからではないか。原監督はだから、山口を早めにチェックしたかったのでしょう」
最多勝を獲得した2年前のように、山口に菅野の代役が務まるのか、確認したかったというのだ。
「1週間で立ち投げしかできないなら、菅野が代表メンバーを辞退する可能性もある。仮に無理をして復帰しても、本来の投球ができないのでは意味がない。山口にしても、そもそも春のキャンプも米ジャイアンツの招待選手だったわけで、例年より練習量は落ちているでしょう。隔離期間明けでもあるし、果たしてどこまで働けるのか。過度な期待は禁物です」(高橋氏)
山口の早期復帰は、菅野の状態が芳しくない証しというのだが……。