伊藤将司は毎年1月1日に監督宅へ押しかけ打撃練習をおねだりした
「テレビゲームよりも野球をしている方が好きな子だった。元日に突然電話がかかってきたと思ったら、『ティーを上げてほしい』『打たせてほしい』と言って、自転車で私の家まで押しかけてきたことが何度もあります(笑い)。ウチの敷地には子供たちが練習できるように、ネットで仕切った打席が4つありますからね。休みの日に練習しに来る子はちょくちょくいましたが、元日に来たのは後にも先にも伊藤だけです」
中学を卒業してからも宮園さんとの交流は続いている。横浜高やJR東日本時代は帰省するたびに宮園さんに一報を入れることを欠かさなかった。成人式の式典に臨む直前には、正装で宮園さんの自宅まで挨拶に出向いたという。
二十歳を越えてからはお酒を酌み交わし、一緒にゴルフをプレーする間柄だ。
「『連れて行ってください』と誘ってくれるんです。可愛いですよ。ただ、コロナ禍で今は会いにくいし、我々の行きつけだった牛タンのおいしい居酒屋『花たば』はマスターが亡くなり、閉業してしまいました。ドラフトが終わってすぐの、昨年12月のことです。このマスターは伊藤が小学生の頃から応援してくれていた地元の方で、店の大黒柱には伊藤の身長の記録が刻まれているんですよ。こんなに活躍することになるとは……。マスターと一緒にその姿を見たかったですね」