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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

株価やエネルギー価格の高騰…物価騰貴の恩恵を受けるのはスポーツ界でも経営陣だけ

公開日: 更新日:

コロナ禍の損失を取り戻す

 物価騰貴の影響が人々の生活に徐々に表れる中で、堅調な米国の株式相場の恩恵を受ける層も少なくない。とりわけスポーツの分野では世界的なエネルギー価格の高騰を背景に、石油や天然ガスなどに関係する企業家たちが金銭的に優位な立場を保つことになる。

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、欧州サッカー連盟に加盟するクラブに課されている財政健全化のための規制が緩和されたため、例えばカタール投資庁が所有するパリ・サンジェルマンは有力選手を積極的に獲得している。こうした状況は、エネルギー価格の高騰により一層加速することが予想される。

 大リーグでも、球団経営者として名を連ねる投資家などは、世界的な株式市場の好調さを受け、「コロナ禍」で生じた金銭的な損失を取り戻しつつある。

 ただ、経営陣の状況が回復したからといって、球界全体を取り巻く環境がただちに好転する保証はない。

 むしろ、今年9月の消費者物価指数が前年同月比で5.4%上昇するなど、米国ではインフレの懸念が高まる。

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