「おまえはキャッチャーはクビや!」星野監督に外野コンバートを通告された
確かに言う通りだった。身長173センチで細身でガッツプレーが持ち味だった私は故障が絶えず、この頃は腰の状態が悪化していた。一年間を戦うスタミナがなかった。捕手として試合に出続けた古田敦也(ヤクルト)や谷繁元信(横浜など)は本当にすごい。
私はどこかに痛みがあったり、疲労が蓄積している時は気持ちが乗らなかった。1試合休めば、翌日は回復するのにと考えたこともあったが、プロでレギュラーを務める以上、簡単に他人にポジションを明け渡してはいけないのは鉄則。そんなジレンマを抱えていた。「キャッチャーはクビや!」と言葉は厳しかったが、星野監督は私の腰の状態を気にかけてくれたのだと思う。
■遊撃・宇野勝は二塁にコンバート
このキャンプでは、他にも大胆なコンバートが決まった。遊撃・宇野勝は二塁へ。前年は一塁に専念していたゲーリーは外野に再転向させて陣容を整えた。
その年、私は外野手として打率.262。星野監督就任2年目で6年ぶり4度目のリーグ優勝を果たしたシーズン終盤、「今年は中尾がトレードやな」というウワサが飛び交った。