高梨沙羅「金」取りは“ガラスのハート”の克服 最強ライバル・クラマーのコロナ欠場で重圧増す
ジャンプ界のバッドニュースが飛び込んできた。
北京五輪ノルディックスキー・ジャンプ女子金メダル候補のマリタ・クラマー(20=オーストリア)が、新型コロナに感染し欠場が決まった。
クラマーは昨季のワールドカップ(W杯)で7勝をあげ、今季も6勝で総合首位にいる。171センチの長身を生かし、追い風をものともしないビッグジャンプが魅力。「初出場の五輪で金メダルを取るのが夢」と語り、誰もが「最も金に近い選手」と認めていた。
そのクラマーが「コロナで欠場」というニュースは、3度目の五輪で悲願の金メダルを狙う高梨沙羅(25)にとっては朗報だろう。
「そうとも言えないでしょう」と、スキー団体のある関係者がこう言う。
「今季は平昌大会で金メダルのマーレン・ルンビ(ノルウェー)が欠場し、クラマーも五輪不出場なら、確かに高梨の金メダル獲得への期待が膨らむ。マスコミは『金だ、金だ』とあおるでしょう。それが心配なのです。高梨は強気に見えますが、気持ちの切り替えがうまくないし、メンタルも強い方ではない。4年ぐらい前だったか、W杯の札幌大会でカメラマンが撮影禁止エリアのスタートバーの脇まで入ってきて高梨を接写する事件があった。高梨は目の前のカメラマンを注意して、気持ちを切り替えて助走に入ればいいのに、カメラマンに何も言えず、集中力を欠いたまま飛んでしまった。そのシーズンはこの一件で調子を落としてしまったのです」
メダル圏内は自分だけというプレッシャー
さらに関係者は続ける。
「個人総合2連覇を達成した2013-14年のシーズンはW杯15勝でした。ソチ五輪も絶好調で臨みながら2回目のジャンプに失敗して4位。前回の平昌大会もサッツ(踏み切り動作)が遅れて銅メダル。過度の緊張が原因でしょう。W杯で61回も優勝していて世界選手権と五輪で頂点に立っていないことが不思議といわれるが、彼女にとって不幸なのは国内の女子ジャンパーでメダルを狙える選手が自分しかいないこと。一人で責任と重圧を背負っているのです。酷な話ですが、それは今回も同じです」
金メダル取りの課題は着地だけではなさそうだ。