阪神・矢野監督「退任宣言」は百害あって一利なし! 苦戦必至でOB、メディア、古株ファンも嫌悪

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 百害あって一利なしだ。

 キャンプイン前日の全体ミーティングで自ら今季限りでの退任を公言した阪神矢野燿大監督(53)。異例中の異例といえる表明は、今もチーム内外で波紋を呼んでいる。

「チームのために選手のために」と理由を述べた一方で、「申し訳ないけど自分のため」「僕個人のこと」と、エゴ丸出し。揚げ句は話したことで「スッキリした」と漏らすなど、選手の生殺与奪権を握る重要なポジションにいる人物とは思えない発言もあった。

 中には「優勝への決意」と好意的に捉えるムキもあるものの、今回の無責任な言動に対する批判の声が圧倒的に多い。

■チームの私物化

 2日付の日刊ゲンダイで評論家の山崎裕之氏が驚きつつ、「前代未聞。選手だって困惑していますよ。むしろ選手の関心は『次の監督は誰だ?』ということに集中してしまうのではないか。ただの自己満足、自己陶酔にしか聞こえない。個人的な思いは腹にとどめておけばいいんです。矢野監督は人間の心理がわかっていないとしか思えません」と、呆れかえっていたが、球界の大御所・広岡達朗氏や阪神OBまで「非常識」「1年でいなくなる監督に選手はついていかない」と厳しく言及。普段は阪神のワッショイ記事一色の在阪スポーツメディアですら、批判的な記事を掲載しているほどだ。

 阪神OBで評論家の江本孟紀氏は、サンケイスポーツ紙上で「矢野はタブーを破ってしまった」とした上で、「選手の前で『辞める以上は、好きなことをさせてもらう』と宣言したそうだ」と記した。開き直りが甚だしいというか、チームを私物化しているといっても過言ではない。

途中解任の恐れ

 阪神ファンの関大名誉教授・宮本勝浩氏は、「前任の金本監督時代に比べてムードが明るくなり、選手もホッとした面も垣間見えました。成績も残していましたし、個人的には評価していますが……」と前置きした上で、こう続ける。

「昨季は独走態勢に入りながら優勝を逃した。私も含めて期待が大きかった。その責任を感じているのかなと。メディアの人から佐藤輝らの起用についてもっと辛抱強く使えという批判の声も聞いていた。野村克也さんも『阪神の監督はしんどい』と言っていましたからね。ただ、キャンプ直前に辞めると言うのは……。星野監督が2003年限りで辞めるときは、シーズン中から今季までと考えていたように感じましたが、最後まで口にはしませんでした。監督のために頑張ろうという選手がいればいいですが、1年で辞める監督についていかない選手もいるかもしれません。監督がダレであろうと自分のためにやるのがプロのあるべき姿だと思いますが……」

 一方で、就任当初から「矢野監督の采配はひらめきばかりが目立って理論やセオリーがない」と喝破してきたファン歴70年の宗教評論家・ひろさちや氏は、「今季の阪神がうまくいけばいいですが……」と憂いつつ、こう指摘する。

「過去3年間の采配、正捕手の梅野を腐らせたような選手起用はもちろん、もともと監督の器ではないと思っていました。そもそも、退任を公言しようがしまいが、今季途中で成績不振により、途中解任に追い込まれてもおかしくないとみていたくらいです。私はむしろ、これを恐れた矢野監督が今年いっぱいはやり続けたい、と意思表示をしたようにも聞こえましたね。だから選手には、おまえたちも我慢してやれという……」

■平田二軍監督の昇格

 苦笑いを浮かべながら、ひろ氏が続ける。

「矢野監督は退任公言について、『僕個人のこと』と言ったり、発言後に『スッキリした』と言ったそうですが、本当におかしな話です。辞めるというなら、明日にでも辞めてもらいたいくらいです。こうなった以上、今年は苦戦を強いられるでしょう。開幕からコケるようなら、ファンが『辞めろ』と大声を上げるし、チームがゴタゴタするのが何より一番困る。かといって後任は? と聞かれても難しいところがありますよね。藤川球児さんは理論派で案外いいかもしれませんが、まだ引退して間がないし、元監督の岡田彰布さんもトウが立っていますしね。ひとまず、平田勝男二軍監督に2年ほど託して、その間に藤川さんやOBの鳥谷敬さん、今岡誠(現・真訪)さんをコーチに呼んで、次の監督になってくれ、と説得するしかないでしょう。いずれにせよ、矢野監督は昨季中も辞意を漏らしていたそうですから、そもそも球団が『もう1年頼む』と続投にこだわったのも失敗だったと思います」

 大混乱を招いた責任は、球団にもある──。

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