日本シリーズ直前合宿で膨大なデータを渡され…“ダメダメ”ミーティングで屈辱の4連敗
巨人は1990年シーズンで2位広島に22ゲームもの大差をつけて独走優勝を果たした。しかし、日本シリーズ前のミーティングで、投手陣がシーズン中の報奨金が「野手より少ない」と不満を訴えた。「瞬間湯沸かし器」の異名をとる藤田元司監督は怒って複数の主力投手を呼び、「それなら、おまえらでこれを分けろ!」とポケットマネーから300万円を叩きつけるように渡すという“事件”が起きた。
西武との日本シリーズは直前に迫っていた。西武も12ゲーム差をつける独走だったが、大方の予想は「巨人有利」。9月8日のリーグ優勝から10月20日の日本シリーズまで約1カ月半も期間が空き、すっかり緊張感が緩んでいた。そんな中での報奨金騒動。これで野手と投手が険悪になったわけではないが、チームの一体感は弱まった気がした。
とはいえ、ただ待っていたわけではない。1週間ほど直前合宿を行い、捕手の私はミーティング漬け。スコアラーに膨大なデータを渡され、「石毛(宏典)にここは投げちゃダメ」「清原(和博)にあそこは危ない」「デストラーデ、秋山(幸二)には……」などダメなことばかりを頭に詰め込んだ。要するに、西武打線のスゴさだけをバッテリーで共有してしまった。それが、かえって投手が腕を振れなくなることにつながった。