星野仙一さんが阪神を「特殊な球団」と言った意味 二軍選手までチヤホヤされる
二軍の若手がテレビ出演やサイン会などで引っ張りダコの球団など他にない。たとえ二軍でも「宣伝になるから」と用具類はタダ。ひっきりなしに接待の誘いがある。人気球団の巨人でさえ二軍選手はここまでチヤホヤされない。
■若手を甘やかす恵まれすぎた環境
これが一軍ならまだいい。阪神の場合は、高卒で入団したばかりの若手が、まるでスターのように周囲に持ち上げられる。これでは練習に集中できないし、勘違いして当然だ。「阪神は若手が育たない」とよく言われるが、こんな“恵まれ過ぎた環境”が影響しているのは明らかである。星野さんが「特殊」と言った意味が分かった気がした。
二軍の打撃コーチに就任すると、PL学園出身の高卒3年目、「虎の生え抜き大砲候補」として二軍で4番を打っている桜井広大を育成せよ、との命が下った。爆発的な背筋力を武器に日本人離れした特大弾を放つ。一方で苦手なインコースを意識するあまり、左肩が開いて目線が遠くなり、アウトコースの変化球に対応できないという悪循環に陥っていた。スイングの軌道が外回りする「ドアスイング」になっていた。