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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

米大リーグの懸念は「ウクライナ問題」より物価上昇 娯楽費や遊興費の見直しも…

公開日: 更新日:

 ダウ平均株価が過去1カ月間3万4000ドル台以上を維持していたことなどは、市場が先行きを楽観しているとさえいえる。

 米国の企業にとってむしろ問題なのは、卸売物価指数の上昇である。

 2月15日に米国労働省が公表した2022年1月の卸売物価指数は、市場の予想の2倍の伸び率となっていたのである。

 企業間で取引される商品の価格が卸売物価である。そして卸売物価の上昇はただちに消費者が購入するモノやサービスに影響しないとはいえ、数カ月以内には消費者物価に転嫁されることになる。

 さらに、物価が上昇しても賃金が上がらなければ、消費者の可処分所得は減らざるを得ない。

 このとき、家計を見直す際に最初に検討される項目のひとつが、娯楽費や遊興費である。大人2人、子ども2人が大リーグの試合を観戦する場合、2016年の時点で入場券と飲食代などを含む1回あたりの費用は平均して約219ドル、21年には約253ドルまで上昇している。

 16年のNFL(約504ドル)やNBA(約339ドル)に比べて低額とはいえ、大リーグの試合数は他に比べて多く、シーズン券の購入者だけでなく、予定の合う日に1回券を買い求める利用者にとって、費用の負担は決して小さくない。

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