J2降格の「大分トリニータ」運営会社社長 コロナ禍を乗り切る地道な改革案
そこで新たな試みとして昨年はクラウドファンディングにも挑戦。9000万円近く集めた。
■地域密着型サッカーチームの成功とは?
「クラウドファンディングというのはサポーターの心意気に訴え、それに応えていただいたということなので、何度もできるものではない。長い目で見た収入やファン拡大の課題として考えているのは、サッカースクールの見直しです。現在400人ほどの生徒がスクールに在籍しているのですが、プロクラブの強みを生かすとともに個々の成長を『見える化』するカルテなど、保護者の満足度を上げるような取り組みを行うといった改革案を練っています。また、これは行政の協力も必要になってきますが、中学や高校などのサッカー部で指導者がいない部にコーチを派遣する“横展開”も考えています」
さらに地方サッカーチームにおける「成功」についてはこのように考えているという。
「地域密着を徹底し地元の方々に愛していただけるかの一言に尽きます。そのためには老若男女が試合だけでなくスタジアム自体を楽しめたり、隣接する商業施設や温泉に行くように、大分の日常の中にサッカー観戦が当たり前のようにあるというふうにしていきたい。もちろんJ1に定着できるチームを目指していきながら、大分トリニータ独自の方法で地域に根ざせるかを地道に目指していきます」
榎氏は「サッカーに逆転ホームランはないので、少しずつ目標を達成したいと考えています」と語る。とはいえ、突き刺さるようなあざやかなゴールを楽しみにしているサポーターが多そうだ。
(取材・文=SALLiA/ライター)