伝説の10.19第1試合九回裏…守護神・吉井理人が判定に激高、球審に食ってかかろうと
迎えた九回裏。吉井はいつも通り、いいボールを際どいコースに投げていた。しかし、微妙なコースをことごとくボールと判定され、この回の先頭打者に四球を与えてしまう。内角の際どいコースを4つ目の「ボール」と判定された瞬間に吉井は激高、「ストライクじゃないか!」とマウンドを下りて球審に食ってかかろうとした。
強気なピッチングをする男だが、試合中にあそこまで熱くなったのは見たことがない。この回を抑えれば優勝に王手という状況に気持ちが高ぶったのか、判定に対する怒りをあらわにし、精神的に抑えが利かないような状態だった──。
その前年のこと。当時プロ4年目の吉井は先発かリリーフか役割も決まってなかったし、一、二軍を行き来するような状態だった。一度、先発する日にちが決まって、投げる日を告げられた。私は当時ルーキー。学年は自分がひとつ上だが、吉井とは仲が良かった。寮では洗濯機の使い方を教えてもらったり、門限を過ぎてから吉井の車でこっそりファミレスに出掛けたりもした。
■録画のタイマー予約をしたが…