著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

ウィンブルドンを沸かせた“天才不良少年”キリオスと、“国境なき”リバキナが示した新時代

公開日: 更新日:

 チチパスとの3回戦は双方がなじり合う罰金処分の泥仕合で、チチパスが客席にボールを叩き込んだ。

「あれ、オレだったら一発退場よ。審判はオレにだけめっちゃ厳しい。これまで払った罰金なんか1億円超えてるぜよ」

 和訳もこういうトーンになるが、別な顔もある。2年前の全豪の時期に大規模な山火事が続きコアラなど多数の野生動物が焼け死んだ。キリオスは率先して寄付を申し出て自ら支援活動に駆け回った。今年、反ワクチンのジョコビッチへの批判が渦巻く中、一人、声高に擁護した。叩き折ったラケットを客席の子供に渡して頭をなでる顔はこぼれるほどに優しい……。

〈悪童〉マッケンロー顔負けの奇人、変人。模範生ではないが、いろんなヤツがいるのがスポーツの魅力ではないか。

■国ではなく選手が頑張った

 日本はこの手のタイプが苦手だ。キリオスは16年のジャパンオープンで優勝しながら、翌年は呼ばれなかった(ツアーでも出場交渉がある)。日本協会は、豪州との二重国籍を持つ有望なジュニアを「キリオスと仲がいい」と強化指定から外した。国それぞれの伝統や考えがあるだろう。問題はその道が時代からズレていないか、だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  3. 3

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 4

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  5. 5

    マイナ保険証「期限切れ」迫る1580万件…不親切な「電子証明書5年更新」で資格無効多発の恐れ

  1. 6

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  2. 7

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  3. 8

    Mrs.GREEN APPLEのアイドル化が止まらない…熱愛報道と俳優業加速で新旧ファンが対立も

  4. 9

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  5. 10

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差