“高校最強軍団”大阪桐蔭はなぜ散った? 下関国際にまさかの逆転負け「3つの敗因」
■追う展開に対する“免疫”なく…
一方、こんな指摘もある。スポーツライターの楊順行氏は、1点ビハインドで迎えた九回裏の攻撃で大阪桐蔭の複数の選手が涙していたことを挙げ、こう話す。
「1点差ですし、全員が本塁打を狙える大阪桐蔭打線なら、たとえ2死になっても諦めるのは早すぎます。これで思い出したのは、2014年の石川県地方大会決勝。星稜は0-8で迎えた最終回に9点を返し、サヨナラ勝ちを決めました。ナインは終始、『こっから逆転だ!』と笑みを浮かべていた。カラ元気でも、そういった胆力は試合終盤で重要な要素になると思います。しかし、大阪桐蔭の現チームが公式戦で負けたのは1度だけ。試合のほとんどは序盤に大量リードを奪い、危なげなく勝ってきた。だから、こういったピンチで力を出し切れなかったのではないか」
県大会は1度もリードを許すことなく圧勝。今甲子園でも初戦を除いて常に先制点を奪って試合の主導権を握ってきた。追う展開に対する免疫がなく、そこにもモロさがあった。新チームになって唯一の公式戦黒星を喫した春の近畿大会決勝も、優勝した智弁和歌山(和歌山)に3点を先制され、そのまま押し切られたものだった。
相手を圧倒するのが当たり前と言う慢心。敵は己にあったということでもある。