エリザベス女王から優勝杯を渡された「唯一の日本人」 順大OB澤木啓祐氏が語った緊張感
英国の君主として70年にわたって在位してきたエリザベス女王が8日、96歳で亡くなった。「女王陛下の訃報に接し、56年前を思い出しました」というのは、陸連専務理事、副会長などを歴任した澤木啓祐氏だ。
澤木氏といえば、母校・順天堂大の監督時代は箱根駅伝総合優勝9回の名将として知られるが、5000、1万メートル代表で1968年のメキシコ五輪に出場する2年前、ロンドンのクリスタルパレス競技場で行われた「英・米4大学対抗5000メートル招待」に推薦枠で出場し、世界のトップを蹴散らし優勝。エリザベス女王から優勝杯を手渡されたことを知る人は少ない。
ちなみに、13分36秒2のタイムは当時の世界記録にわずか4秒差。日本新記録並びに英国国際新記録だった。
「あのレースは招待選手ではなかったので、自費参加でした。順大の帖佐(寛章)監督が大会本部に申請し、前年(大学4年時)のユニバーシアード(ブダペスト)5000メートルの優勝が評価されたのです。女王陛下は5000メートルの招待レースだけ観戦にいらした。180センチ以上の大柄な選手の中で、無名の小柄(当時168センチ)な日本人が勝ったのでスタンドは予想外の結果にどよめいていました。