花巻東・佐々木麟太郎「高校通算90号」達成も…スカウトが投手と三塁守備を見たがるワケ

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「第2の村上」と持ち上げるスポーツマスコミと実際の評価の乖離

 そうはいっても高校2年秋の段階ですでに90本塁打。来夏まで離脱さえなければ、高校通算トップとされる清宮の111発を更新する可能性は高い。花巻東の先輩でもある大谷が56本だから、現段階の90発がいかに突出しているか。突き抜けたスラッガーなら、一塁しか守れなくても問題ないのではないか。プロがそこまで守備位置を気にするのはなぜか。別のパのスカウトがこう言った。

「その打撃にしても、それほど評価は上がっていないのが現状です。低めの球を拾って本塁打できる技術はある。スイングは柔らかいし、ヘッドスピードも速い。ツボにハマった時に飛距離を出すパワーは誰もが認めるところ。でも、はっきりした穴がある。これが埋まらない限り、打つだけで来年のドラフト1位票を独占できるかというと、難しいかもしれない」

■140キロ球の投手には攻略マニュアルが

 現在、古巣・横浜高で臨時コーチを務める元部長の小倉清一郎氏は日刊ゲンダイ連載コラムで、「バックスイングの際に前の右肩が下がり、ギッタンバッコンするから、やっぱりインコースは詰まる」「アッパースイングだから、内角から真ん中寄りの高めの140キロ以上の速球には対応できない」と課題を指摘していた。

「下からバットをあおるスイング軌道のため、球威のない投手なら簡単に打つ。でも、140キロ級の投手が内角と高めを攻め続ければ、大ケガはないというのが麟太郎攻略のマニュアルのようになっている。打つ方に穴というか問題があるなら、守備も当然大事になる。守りがいけるなら、プロでも打撃の課題を克服する時間が与えられる。麟太郎の父親でもある花巻東の佐々木監督も、それが分かっているから、試合でマスクをかぶらせたり、投球練習をやらせたり、『一塁だけじゃない』とプロへのアピールに躍起になっているように見える」(前出のセ・スカウト)

 来年のドラフト会議まであと1年。佐々木麟は進化できるか──。岩手県1位で出場する来春のセンバツをかけた東北大会は、10月10日に開幕する。

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