メッシを取材して20年…カタールW杯にはボクの知らない彼がいた「ここまで本気なんだ」
メッシのことは若い頃から知っている。やせっぽちでしゃべらない少年だった。バルセロナで多くのタイトルを手に入れ、バロンドールを何度も手にしても、無口でシャイな性格は変わらなかった。
でもこの大会、最初の試合からどこか違った。そこにはボクの知らないメッシがいた。あのおとなしい彼が闘志を隠さない。準々決勝の直後に「何見てんだよ、バカ野郎!」とオランダの選手に吐き捨てたこともあった。この20年間、その闘志はどこに隠していたんだ? って思ったくらい。でも、その強い気持ちが、彼と仲間たちを頂点に導いたんだと思う。「メッシがここまでやるんだ。ここまで本気なんだ。全力を尽くして勝たなくてどうする」ってね。
ボクはこれまで10回W杯を見てきたけど、今回の決勝はベストマッチだったと思う。
スポーツというより、極上のドラマでありショーだった。アルゼンチンとブラジルは、究極のライバル関係にあるけど、最終的には南米の誰もがアルゼンチンを応援していたよ。
南米勢は2002年の日韓大会でブラジルが優勝したのが最後。20年以上もヨーロッパ勢に世界王者を名乗らせるのは悔しい──という思いもあったね。