メジャー組WBC宮崎合宿どうなる? 大谷翔平不参加なら「大正解」、侍J早期合流に障害が…
WBCメンバーが合宿を行う宮崎、いや、日本中のファンは肩を落とすかもしれない。
メジャーリーガーの大谷翔平(28=エンゼルス)、鈴木誠也(28=カブス)、吉田正尚(29=レッドソックス)、ヌートバー(25=カージナルス)の4人が宮崎合宿に参加しない可能性が高くなったのだ。
■カネで解決できない
中でもメジャーでMVPを獲得、いまや全米のスターともいうべき大谷の早期合流が困難になったことは、ファンもメディアもガックリに違いない。現行のルールでは、メジャーリーガーが試合に出場できるのは3月6日の強化試合(対阪神)から。それ以前の宮崎合宿から彼らを呼ぶためには、万が一に備えた保険に加入する必要がある。NPBはどうやら保険の問題はクリアしたらしいが、最終的には所属球団と本人の許可も必要になるという。
大谷の今季年俸は約39億円。保険に加入することでカネの問題はクリアするものの、エンゼルスがそれだけの大金を投じるのは投打にわたり、チームにとって欠かせない戦力だから。仮に大谷が大ケガでもして今季絶望なんてことになれば、その時点でエンゼルスのシーズンも終了となりかねない。
■やることてんこ盛り
カネで解決できる問題ではないうえに、ただでさえ大谷は今季、エンゼルスのキャンプでやることがてんこ盛り。
ひとつは今季から導入されるピッチクロックの問題だ。試合時間を短縮するために今季から、投手は投球間の時短が義務付けられた。走者がいないときは捕手の返球を受けてから15秒以内、走者がいるときは20秒以内に投球動作に入らなければならない。これを超過した時点で「ボール」が宣告されてしまう。
昨季の大谷はこの投球間の時間が走者ナシは15.7秒で399人中354位、走者アリは20.9秒で同380位。メジャーの中でも時間がかかるだけに、実戦の中で投球動作に入る時短に取り組む必要がある。
もうひとつはバッテリーを組む正捕手が今季、スタッシ(31)からオホッピ(22)に代わる問題だ。オホッピは昨年8月にフィリーズから移籍した選手で、大谷は公式戦で一度もバッテリーを組んだ経験がない。それだけにオープン戦で密にコミュニケーションを図る必要がある。
さらに今年から極端な守備シフトが禁止されるため、チームとして例年以上に投内連係に時間を割く必要も生じる。
それやこれやで大谷にはエンゼルスのキャンプが必要不可欠。エンゼルスが早期の日本代表合流を認めるとは思えないが、大谷本人や侍ジャパンにとってはむしろ、好都合ではないか。
宮崎合宿から参加した場合、大谷の実戦は最短で3月6日になる。ここで投げてしまえば、9日の開幕戦(対中国)まで中2日しかない。10日の韓国戦にしても中3日だけに、ぶっつけ本番の可能性も出てくる。
しかし、エンゼルスのキャンプ地・アリゾナにいれば2月25日(現地時間)のマリナーズ戦から実戦がスタートする。米国にいるぶんには試合で投げられないという制約はなく、エンゼルスにしても開幕投手の最有力候補でもある大谷には一日でも早く新ルールや新たな正捕手に対応してもらいたいところだろう。
25日から毎日、実戦が組まれているだけに、侍ジャパンに合流するまでに2試合は登板できるかもしれない。試合で投げられないだけでなく、打席にも立てない宮崎合宿から日本にいるよりも、はるかにいいコンディションで本番に臨むことができる。