PGAツアーは予選カットなし LIVゴルフに対抗して墓穴を掘らないか
さらに、ワールドゴルフランキングの問題でも、予選落ちがないPGAツアーの新規大会にポイントを与えることになれば、LIVゴルフにポイントを与えない理由がなくなる。そうなればLIVゴルフでプレーするリスクもなくなり、移籍へのハードルが低くなる。
PGAツアーの新構想に理事のローリー・マキロイは「今回の変更を大歓迎している。予選カットがない試合はこれまでにもあった。WGCやプレーオフ、それにZOZOもカットがなく、問題はない」と擁護する。
出場権が約束されているトッププロは、こぞって賛同の意を表しているが、中堅以下のプロからは不満が続出している。
先のパーマー招待は今年の格上げ試合のひとつで、優勝したカート・キタヤマは優勝賞金360万ドル(約4.8億円)を獲得し、最下位(72位)の賞金は4万600ドル(約540万円)。来年から始まる予選落ちのない大会も、ほぼ同じような賞金になる。
予選カットがなければ当然死に物狂いのドラマは少なくなり、試合の迫力も低下する。それでは大会スポンサーの満足も得られず、ツアー運営にも暗い影を落とす。高額賞金はテレビ放映権料から支払うにしても、格落ちした通常大会では視聴率も取れず、広告効果も期待できなくなる。となればスポンサー離れも進む可能性がある。
改革を続けるPGAツアーは本当に大丈夫なのだろうか?
(ゴルフライター・吉川英三郎)