源田が小指骨折でも離脱しなかった裏側…西武に漂ったピリピリムードと侍Jへの配慮
「クレージーだ! メジャーではありえないよ!」
WBCを取材していた米国人記者が目を白黒させた。
正遊撃手の源田壮亮(30=西武)が1次ラウンドの韓国戦(3月10日)で右手小指を骨折しながら、準々決勝のイタリア戦(16日)でスタメン復帰したからだ。
右手にテーピングを巻いて打席に立ち、守備にも就いた。昨季まで西武で監督を務めた辻発彦氏が「守備位置がちょっと浅い。痛いのか、送球に不安があったりするはず。浅めに守りながらも、しっかり良いプレーをしている」と指摘するなど、ギリギリの判断だった。
一部報道によると全治3カ月の重傷という。小指が横に曲がった状態で、栗山監督は帰国後、「痛み止めをラムネのように口に突っ込んでいた」と明かしたほどだった。
栗山監督は源田が骨折した時点でメンバーから外すことを考えたという。しかし、WBCへの並々ならぬ思いがあった源田は指揮官に帯同を直訴。去る24日、日本テレビ系の「スッキリ」に出演した源田は当時のことをこう振り返った。
「WBCって野球人なら誰もが憧れる大会。今回栗山監督から先行発表の12人に選んでいただいて、絶対に最後優勝の時にショート守ると決めていた。絶対に負けないぞと」
西武にも源田骨折の一報が届いた。WBCはおろか、公式戦にも大きな影響が出るのは必至。今後のことを考えれば、直ちに代表を離脱してリハビリに専念すべきだが、松井稼頭央監督も源田の思いを受け止め、帯同にゴーサインを出した。
大会後、「ケガもありながら最後の最後まで出たことは野球人として素晴らしい。どうやって開幕に入っていくか、話し合って決める」とねぎらったが、開幕に間に合わない可能性もある。
源田の故障後、西武はピリピリムードを漂わせた。チームにとって不可欠な存在。日刊ゲンダイの記者がベルーナドームでコーチ陣に源田に関する質問をしていると、広報担当者から「WBCに関連する話はどういう内容でどういう趣旨かを(侍Jを運営する)NPBエンタープライズに申請、許可を取り、そのうえで球団として改めてその可否を判断します」という趣旨の話を伝えられた。少なくともこのような取材ルールは12球団統一のものではなく、源田や侍ジャパンへの配慮があったとみられる。