阪神・村上頌樹は矢野前監督最大の「置き土産」だ! “虎の村神様”爆誕までの紆余曲折
大学3年時にも完全試合を逃す
村上は今季初先発となった4月12日の巨人戦で七回まで完全投球。ひとりの走者も出さないまま降板したことで一躍名前を売ったが、「実は大学3年時にも完全試合を逃した試合がありました」と杉本監督が明かす。
「亜細亜大との試合でした。村上は九回2死までパーフェクト。こちらが1点でも取っていれば完全試合を達成していてもおかしくなかったのに、打線が無得点。結局、村上は11回を投げ切って試合には勝ったものの、十回1死から唯一の安打を打たれた。パーフェクトのまま降板した今季の試合を見て、村上はそういう星の下に生まれたのかと思いましたが、そういうことがあっても腐らずに淡々と自分のやるべきことをやれるのが、彼の一番の武器です」
■恩師は「天狗の鼻を何度か折ってやりました」と
村上が中学時代に所属した硬式野球チーム「アイランドホークス」の当時の監督で、現在は「ヤング淡路」のGM兼総監督を務める西邑佳己氏はこう言う。
「村上は打撃もよく、大阪桐蔭や報徳学園の関係者の方は打者として興味を持っていました。普段はおとなしい性格ですが、マウンドに上がるとガラリと変わる。物凄く負けん気が強く、カーッとなって直球勝負を挑むことも多かった。自信満々で、天狗の鼻を何度か折ってやりました(笑)。でも、怒られたら2度は同じことはしない。どんどん成長し、クレバーな投手になりました。1点差なら点をやらないピッチングをし、2点差なら1点はやってもいいというピッチングができる。牽制やフィールディングもうまく、ゲームを任せられるピッチャーです」
この日は打線の援護がなく今季初黒星を喫したものの、快進撃はまだまだ続きそうだ。
▽村上頌樹(むらかみ・しょうき) 1998年6月25日、兵庫県南あわじ市出身。賀集小1年から賀集少年野球クラブで野球を始める。南淡中時代はアイランドホークス(硬式)に所属。智弁学園高3年春に甲子園優勝投手。東洋大3年春に6勝0敗、防御率0.77で投手3冠とMVPなどを獲得。2020年ドラフト5位。175センチ、80キロ。右投げ左打ち。