1敗キープ朝乃山を待つ本当の試練…上位陣に力を発揮できるか、賜杯争い絡み“割り崩し”も
横綱照ノ富士と並んで1敗をキープしている朝乃山(29)。23日は前頭9枚目の平戸海と対戦し、はたき込みで勝利。11日目の24日は同6枚目で8勝2敗の明生と当たることになった。
9勝1敗で賜杯争いのトップタイとはいえ、朝乃山は前頭14枚目。本場所は番付が近い相手と対戦するので、これまで対戦したのも、それ相応の地位の力士ばかりだった。
しかし、優勝が絡むと「割り崩し」が行われることもしばしば。通常、前頭14枚目の力士が三役以上と当たることはまずないが、本来、終盤に行うべき横綱-大関戦などを取りやめ、代わりに優勝争い中の平幕を横綱などにぶつけるというのが割り崩しだ。
これには様々な意見があり、「盛り上がるからやるべし」という声もあれば、「やりすぎると伝統を壊しかねない」という者も角界にはいる。ただ、朝乃山は元大関。万年平幕の力士とは立場が異なる。その意味では審判部も割り崩しをしやすいだろう。
「朝乃山のここまでの成績は、誰もが予想した通りでしょう。大関を張った経験があるだけに、そもそもの地力が違う。真価が問われるのは、むしろこれからですよ。もし、大関から陥落した時から成長がなければ、元の地位への復帰は難しいかもしれない。気になったのは8日目の北青鵬戦。右差し左上手という得意の型に持ち込みながら、下手投げを食らった。北青鵬はまわしさえ掴めば、体勢など関係なく力を発揮する怪力の持ち主。自分の型に持ち込んで油断したのか、掴まれたまわしを切らずに攻めたことが敗因です」(角界OB)
これまで5戦5敗の強敵・照ノ富士など、上位陣相手にどこまで力を発揮できるか。大関陥落直前までは、自分の型に持ち込むのに難儀していた朝乃山。試練はこれから始まる。