大谷翔平「FAイヤー勝負の終盤戦」へ突入! 東海岸遠征で“3つの好奇”に晒される
「いいコンディションで初戦を迎えることが一番大事。初戦を終えて2試合目、3試合目、4試合目といけるように、しっかり準備したい」
3年連続3度目の球宴(シアトル)出場を果たした大谷翔平(29)が、日本時間15日のアストロズ戦に向けてこう言った。
前日の会見で「打ったことがないので、打ってみたい」と話していた本塁打は出なかったが、後半戦は「自分が毎試合ベストの状態で結果を残す」と言う。
球宴に初出場した2021年はフィジカルへの負担が大きいホームランダービーに出場したこともあり、後半戦で投打とも失速した。特に本塁打は前半戦、今季の32本塁打を上回る33本を放ちながら、後半戦は13本塁打に終わり、計46本とブルージェイズ・ゲレロ、ロイヤルズ・ペレス(ともに48本)の後塵を拝した。
リアル二刀流実質1年目だった21年は、ただでさえ心身の消耗が激しかった。本塁打のペースは前半戦の10.4打席に1本から、後半戦は22.7打席に1本とガクンと落ちた。翌22年は二刀流のペース配分を掴んだこともあってか前後半(20.1打席、19打席)とも本塁打の生産性は、ほぼ変わらなかった。
1. 各球団のシビアな視線
メジャーではレギュラーシーズン終盤からポストシーズンにかけてのパフォーマンスやチームへの貢献度が高く評価される。強豪チームほど、その傾向は強い。エ軍はポストシーズン進出が厳しい状況とはいえ、大谷は投打ともタイトルを狙える位置につけている。終盤にも強いことを示す条件は整っているだけに今オフ、FAになる大谷の獲得を狙う球団にとって後半戦は格好のショーケースになる。
各球団ともエンゼルス戦にアシスタントGMやプロスカウトらを派遣して、最終的な値踏みをすべく目を光らせることになりそうだ。大谷が優れた選手であることはいまさら疑いようがないが、800億円とも1000億円ともいわれる大金をつぎ込むことになるだけに、ポストシーズンに向けて息切れしないことも重要な要素なのだ。
2. 敵地ファンのラブコール
後半戦は敵地ファンの熱狂的なラブコールも待ち受ける。今回の球宴では、かつてはイチローがプレーしたマリナーズの本拠地シアトルのファンから熱烈な歓迎を受けた。大谷が打席に入ると、T─モバイルパークのスタンドから「シアトルに来て!」と、マリナーズ入団を訴える大合唱が巻き起こった。
人気、実力を兼ね備えた大谷のファンは今や全米規模に達する。後半戦はブレーブス、ブルージェイズ、レンジャーズ、メッツ、フィリーズなど大都市を本拠地とする資金力豊富な球団と敵地での対戦が控える。今回の球宴でマリナーズファンのコールが響いたように、敵地では打席に立ったり、マウンドに上がるたびに大谷へのラブコールがやみそうにない。
大谷はシアトルのファンによる大合唱に「経験したことないですね。聞こえてましたけど、打席では集中していました」と振り返った。