オリ選手時代の岡田彰布は仰木監督と2人、酒を飲みながら戦略など長時間話し合った
チームがどうしたら強くなるか真剣に考えていた
監督としっくりいかないような選手は得てして敬遠されがちだが、仰木監督は違った。「オレに任せてください」と言ってニコッと笑った。
オリックス1年目は53試合に出場しただけだった。けれども、ふてくされるようなところはみじんもない。それどころか自分のことだけでなく、チームがどうしたら強くなるか真剣に考えていた。
大阪は谷町のウナギ屋で仰木監督と2人、酒を飲みながら長時間にわたって戦略などを話し合ったとか。仰木監督から聞いた話だ。
この年、オリックスは前年から順位をひとつ上げて2位。翌95年のリーグ優勝、96年の日本一へとつながっていくチームの足掛かりをつくったのは仰木監督とイチローだけではないように思う。
▽井箟重慶(いのう・しげよし) 1935年、岐阜県出身。上智大学外国語学部卒。59年、丸善石油入社。77年、米国丸善石油に出向し、88年、副社長で退社。89年、オリックスの球団幹部一般公募に応募し、球団常務として入社。90~2000年、球団代表を務め、96年は日本一。現在は関西国際大学名誉教授。